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2016.07.07

夢二郷土美術館 創設50周年で幻の夢二の油彩画初公開

2016.7.7
夢二郷土美術館

初公開!!「西海岸の裸婦」アメリカから里帰り

夢二の油彩画として日本で一般公開されているものは

夢二作品(数千点)の中で、17点しかない希少なものです

夢二郷土美術館(岡山県岡山市中区浜2-1-32、館長:小嶋光信)では、創立50周年記念の本年、奇跡的に夢二の幻の油彩画「西海岸の裸婦」をアメリカから夢二の故郷岡山へ里帰りをさせることができました。

つきましては保存状態も良かったことから、アメリカにあった状態のまま一般公開をする運びとなり、下記内容にて「創立50周年記念 初公開 幻の夢二の油彩画《西海岸の裸婦》アメリカから里帰り」と題した企画展を開催しますのでお知らせします。

企画展初日の7月5日、オープニングセレモニーを開催し、油彩画をお譲り下さった、アラン宮武ご夫妻もロサンゼルスより来岡され、セレモニー及び催事にご参加くださいました。
この油彩画が描かれてから80有余年、当時のままで一般公開されるのは日本で初めてとなります。

催事名称
創設50周年記念

初公開 幻の夢二の油彩画《西海岸の裸婦》アメリカから里帰り

開催期間
2016年7月5日(火)~10月16日(日)
開催場所
夢二郷土美術館本館(岡山県岡山市中区浜2-1-32)
入館料
大人700円 大・高・中学生400円 小学生300円

※20名以上の団体、65歳以上の方は2割引
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
展示内容
夢二(1884-1934)が念願のアメリカ、ヨーロッパへ外遊に出帆したのは亡くなる3年前の1931(昭和6)年。1931年6月から翌年9月までの滞米中にはカーメル、UCLAなどで個展を開催、またロサンゼルスに「YUME ART STUDIO」を持ち、意欲的に絵画制作に取り組んでいました。裸婦を描くことが稀であった夢二がその間に描いた裸婦の油彩画が今回初公開となる《西海岸の裸婦》です。
《西海岸の裸婦》を所蔵していたのは当時ロサンゼルスで交流のあった日系人写真家宮武東洋(1895-1979)でした。東洋が撮影した夢二の肖像写真(サイン入りオリジナル)や当時の写真を初公開するとともに第二次世界大戦後高い評価を受けた写真作品「マンザナール収容所」もご覧いただきます。

また夢二はアメリカに到着して間もない頃に邦字新聞「日米」に挿絵入りのエッセイを寄せ当時の風俗の所感を発表していました。「日米」紙を研究者鶴谷壽氏より寄贈いただきましたので、このたび初公開し滞米中の夢二の様子を紹介いたします。

あわせて当館所蔵の夢二としては希少な裸婦を描いた作品、また初期から滞米中までの油彩画の作品を一挙に公開して裸婦の油彩画への変遷を展観いたします。夢二が新天地で挑戦した新たな画境とは。理想の女性像を描き続けた夢二の新境地をご覧くださいませ。

公開作品:
1.竹久夢二 油彩画「西海岸の裸婦」サイズ51.0cm×62.0cm
2.その他アラン氏よりいただいた夢二に関わる貴重な資料
3.アメリカにて描かれた作品2点
4.宮武東洋 撮影写真 5枚
展示作品数:
屏風4点、日本画(軸・額)24点、油彩12点、スケッチ・水彩12点、本・楽譜・雑誌23点  合計96点(企画展全体)

一般公開されている夢二の油彩画作品数が少ないということで、今回の「幻の裸婦」は大変貴重なものになりますが、現在、弊館の所蔵品、約3000点の公開作品のなかで油彩画は弊館所蔵数が美術館としては一番多く、11点(今回のを含むと12点)ございます。

他に竹久夢二伊香保記念館(群馬県)に2点、竹久夢二美術館(東京都)に3点しかないとのことです。

夢二作品所蔵の美術館公開全作品数からすると、率にも表せないほど大変貴重な作品が、この度、ご縁があって夢二の故郷に里帰りできることを、夢二も望んでいた出会いであったと感じております。

日本へ里帰りすることになった経緯

夢二生誕130年であった一昨年(2014)、ロサンゼルス在住のアラン宮武氏などから夢二の作品を所蔵しているという連絡が夢二郷土美術館に入り、同年11月ロサンゼルスに調査に行きました。

アラン宮武氏所蔵夢二作品などについて

1.竹久夢二の幻の油彩画の大作

・夢二の作品おそらく唯一外国人女性のヌードを描いた油彩画で新たな挑戦の意欲が感じられる大変貴重な大作。(夢二の作品で女性の裸体を描いたものは少なく、また夢二の数少ない油彩画の中で大作。)保存状態もよく、第二次世界大戦をのりこえ大事にされていたことがわかる。夢二は晩年自分の新たな画境を求めて欧米に外遊。この作品は1931年から約一年間のロサンゼルス滞在中に描いたもの。当時ロサンゼルスで夢二と交流のあった著名な写真家宮武東洋(アラン宮武氏の祖父)が持っていた作品。(宮武東洋 みやたけ とうよう1895年 – 1979年:太平洋戦争中、アメリカにある日系人収容所で隠し持ったレンズでカメラを作り、収容所で暮らす日系人を撮影したことで知られ、20世紀写真界の巨匠、アンセル・アダムスやエドワード・ウェストンとも交友があった。ダウンタウンには功績をたたえてToyo Miyatake St.もできている。)


・第二次世界大戦時に日系人は強制収容所に入らなくてはならなかったため、滞米中の夢二の作品は希少である。


・袖井林二郎『夢二のアメリカ』(集英社、1994年)でこの作品が発見されたことが書かれているが、その後の所在はわからなかった。

 

2.宮武東洋が当時の夢二を撮影したポートレートのオリジナル

・珍しくMiyatake Toyo 1932の自筆のサインとYumeji Takehisaと鉛筆で書いている。

3.夢二と交流のあった女性で当時シュイナード美術学校(Chouinard Art Institute)の研究生だった藤川堯との写真4枚

(参考)藤川堯氏に夢二が贈った扇子<紅梅や>夢二郷土美術館所蔵

シュイナード美術学校はウォルト・ディズニーも深くかかわりのある優れた美術学校で後にカリフォルニア芸術大学になっている。

アラン氏は夢二の作品を日本へ里帰りして多くの方々が見ることができるようになることを望んでおり、昨年2015年12月13日、夢二郷土美術館館長小嶋光信と館長代理小嶋ひろみが渡米し、アラン宮武氏から所蔵の作品と写真を夢二郷土美術館で譲り受けることになりました。

★宮武東洋の生き様は日米合作映画「東洋宮武が覗いた時代」と題したドキュメンタリー映画にもなっています。2009年公開、監督:すずきじゅんいち、音楽:喜多郎

概要:第二次世界大戦中に強制収容所の中で暮らす日系アメリカ人の日常生活を撮り続けた日系人カメラマン、宮武東洋の生涯を描いたドキュメンタリー映画。

 

会期中の催事について

学芸員によるギャラリートーク

開催日時
2016年7月10日(日) 11:00~11:30、14:00~14:30の2回
講師:小嶋ひろみ(当館館長代理)
開催場所
夢二郷土美術館本館(岡山県岡山市中区浜2-1-32)
参加費
無料(※要入館料、ゆめびぃ会員は無料です)
申込みは不要です。どなたでもご参加ください。

 

第47回文化講座「新収蔵作品 《西海岸の裸婦》との出会い」

開催日時
2016年9月17日(土)14:00~15:30
講師
小嶋ひろみ(当館館長代理)
講座申込み
定員:30名(申込受付順)
参加費
無料(※要入館料 ゆめびぃ会員は無料です)

 

夢二郷土美術館
086-271-1000

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